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【枕草子・原文】第286段 十二月二十四日

十二月しはす二十四日はつかあまりよか中宮みやの御仏名ぶつみやうの、初夜そやの御導師だうしづるひとは、なかも、らむかしさとへもで、しは、しのたるところへも、よるほどでるにもれ、あひたるみちほどこそをかしけれ。ごろつるゆきの、今朝けさかぜなどの、いたつれば、たるの、いみじうしたり、つちなどこそ斑々むらむらくろなれうへは、ただしろきに、あやしきしづも、おもがくして、ありあけつきくまきに、いみじうをかしかねなど、へぎたるやうなるに、「すいしやうくき」などまほしきやうにて、ながく、みじかく、ことさらわたたるえて、ふにもあまりて、めでたきたるに、したすだれくるますだれを、いとたかたるは、おくまで、たるつきに、うすいろこうばいしろきなど、ななつ、つばかり、たるうへに、きぬの、いとあざやかなるつやなど、つきえて、をかしゆるかたはららに、かたもんさしぬきしろきぬども、あまやまぶきくれなゐなど、こぼして、なほの、いとしろき、たれば、られて、いみじうこぼたりさしぬきかたかたは、じきみに、だされたるなど、みちに、ひとたらば、「をかし」とつべし。つきかげの、はしたなさに、うしざまへ、すべたるを、ひきせ、あらはにされて、わらふもをかし。「凛々りんりんとして、こほりけり」とを、かへがへす、ずんは、いみじうをかしうて、一夜ひとよも、ありまほしきに、ところちかくなるも、くちし。

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