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【枕草子・原文】第128段 恥づかしき物

づかしきもの
をとここころなかざとき、夜居よゐそうみそぬすひとの、べきくまかくて、らむを、たれかはふところに、ものるるひとも、らむかしれは、おなこころに、をかしおもらむ
夜居よゐそうは、いとづかしものなり。わかひとあつまりては、ひとうへを、わらひ、そしにくみもするを、つくづくと、あつむるこころなかも、づかし。「あなうたてかしがまし」など、まへちか人々ひとびとの、もの気色けしきばみふを、れず、ひてのては、けてぬるのちも、づかし。
をとこは、「うたておもさまならず、もどかしう、心付こことづきなことり」とれど、かひたるひとを、すかたのむるこそ、づかしけれして、なさり、このましきひとに、られたるなどは、おろかなりとおもべくも、さずかしこころなかにのみもらず。またみなこれことは、かれかたり、かれことは、これかすべかめるを、(男)「わがことをばらで、かたるをば、(女)「こよなめり」と、おもらむ」とおもふこそ、づかしけれ。(女)「いで、あはれ、また」とおもひとへば、(男)「こころも、ものめり」とえて、づかしくものかし。
いみじあはに、こころくるに、がたことなどを、いささか、なにごとともおもも、(清少納言)「なるこころ」とこそ、あさましけれ。さすがに、ひとうへをばき、ものを、いとふよ。ことに、たのもしきひとみやづかへのひとなどをかたらひて、ただにもらず、たるありさまなどをも、らで、ぬるよ。

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