【枕草子・原文】第63段 良き家の ou 9か月前 良よき家いへの、中門ちゆうもん、開あけて、檳榔毛びらうげの車くるまの、白しろう清きよ気げなる、端はし、蘇す枋はうの下した簾すだれの、匂にほひ、いと清きよ気げにて、榻しぢに立たちたるこそ、めでたけれ。五ご位い、六ろく位いなどの、下した襲がさねの裾しり、挟はさみて、笏さくの、いと白しろき、肩かたに、打うち置おきなどして、とかく、行いき違たがふに、又また、装さう束ぞくし、壺つぼ胡簶やなぐひ、負おひたる随ずい身じんの、出いで入いる、いと、付々つきづきし。厨女くりやめの、いと清きよ気げなるが、差さし出いでて、(厨女くりやめ)「某なにがし殿どのの人ひとや、候さぶらふ」など言いひたる、をかし。 《ご案内》『枕草子・目次』のページはこちら!!