【枕草子・原文】第216段 三条の宮に御座します 原文で読むための枕草子 2023.04.13 三条さんでうの宮みやに御お座はします頃ころ、五いつ日かの菖蒲さうぶの輿こしなど、持もちて参まゐり、薬玉くすだま、参まゐらせなど、若わかき人ひと々びと、御匣殿みくしげなど、薬くす玉だまして、姫ひめ宮みや・若わか宮みや、付つきさせ奉たてまつり、いと、をかしき薬くす玉だま、外ほかよりも参まゐらせたるに、青刺あをざしといふ菓子ものを、人ひとの、持もて来きたるを、青あをき薄うす様やうを、艶えんなる硯すずりの蓋ふたに敷しきて、(清少納言)「此これ、籬ませ越ごしに、候さぶらへば」とて、参まゐらせたれば、 (中宮定子)「皆みな人ひとは花はなや蝶てふやと急いそぐ日ひも我わが心こころをば君きみぞ知しりける」 と、紙かみの端はしを、引ひき破やりて、書かかせ給たまへるも、いと、めでたし。 《ご案内》『枕草子・目次』のページはこちら!!