※ここで原文(伝文)と呼んでいるものは、江戸時代に北村季吟さんが注釈書付き枕草子として出した枕草子春曙抄の本文部分を、さらに、くずし字から元の字(字母)にして下さっているものなどを伝文と捉え元とさせていただいています。
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枕草子・私訳① 枕草子・私訳② 枕草子・私訳③
※命令形と同じ音の已然形、どちらなのか。現代と少しだけ違うニュアンスの言葉があったり。
何度も読んで文脈を探しながら。思い馳せながら。
第一段
春は、曙。やうやう白く成り行く。山際、少し明かりて、紫立ちたる雲の、細く棚引きたる。
夏は、夜。月の頃は、更なり。闇も猶、蛍、飛び違ひたる。雨などの降るさへ、をかし。
秋は、夕暮。夕陽、華やかに差して、山際、いと近く成りたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ、四つ、二つなど、飛び行くさへ、哀れなり。増いて、雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆる、いと、をかし。陽、入り果てて、風の音・虫の音など、いと哀れなり。
冬は、雪の降りたるは、言ふべきに有らず。霜などの、いと白く、又、然らでも、いと寒き。火など、急ぎおこして、炭、持て渡るも、いと、付付し。昼に成りて、温く、緩び持て行けば、炭櫃、火桶の火も、白き灰勝ちに成りぬるは、悪ろし。
枕草子には何が描かれているのか
「第325段 物暗う成りて」には、どの様なものを書いたのか、「第144段 取り所無き物」には、枕草子を書き進めている最中の想いの様なものが書かれています。この段に書かれている様に、枕草子には、様々な場面や物、事が、描かれています。第325段や第144段とは対象的に軽くポップな印象を残すものや、魅力的なもの、しみじみと趣深いもの等も多く、幅が広い様です。集められた、ありとあらゆる千年前の景色や情景を、今、目の前にしている様な表現で見せてくれるものが、枕草子、と言うことでしょうか。又、多くある名称の列挙では、一言二言添えられていたりと、興味を引かれます。
今読むことの出来る「枕草子」は、注釈を付けて下さっていたり、注釈を含めた現代語訳をして下さっているので、何を背景に書かれた言葉なのか、様々な「千年前」を知ることにもなっていきます。
※一FANの見解
原文で読むための枕草子の目次
春曙抄 巻一
第一段 春は、曙 📷
第二段 頃は、正月
第三段 正月一日は
第四段 異事なるもの
第五段 思はむ子を
第六段 大進生昌が家に
第七段 主上に候ふ御猫は
第八段 正月一日 📷
第九段 慶び、奏するこそ 📷
第十段 今内裏の東をば
第十一段 山は
第十二段 峰は
第十三段 原は
第十四段 市は
第十五段 淵は
第十六段 海は
第十七段 渡は
第十八段 陵は
第十九段 家は
第二十段 清涼殿の丑寅の隅の 📷
第二一段 生い先無く 📷
春曙抄 巻二
第二二段 凄まじき物
第二三段 弛まるる物
第二四段 人に侮らるる物
第二五段 憎き物
第二六段 小一条院をば
第二七段 文言葉、無礼き人こそ
第二八段 暁に帰る人の
第二九段 心悸する物
第三十段 過ぎにし方、恋しき物
第三一段 心行く物
第三二段 檳榔毛は
第三三段 牛は
第三四段 馬は
第三五段 牛飼いは
第三六段 雑色・随身は
第三七段 小舎人は
第三八段 猫は
第三九段 説経師は
第四十段 蔵人、下りたる人
第四一段 菩提と言ふ寺に
第四二段 小白川と言ふ所は
第四三段 七月ばかり 📷
春曙抄 巻三
第四四段 木の花は
第四五段 池は
第四六段 節は
第四七段 木は
第四八段 鳥は
第四九段 貴なる物
第五十段 虫は
第五一段 七月ばかりに
第五二段 似気無き物
第五三段 細殿に、人と
第五四段 月夜に、空車
第五五段 主殿司こそ
第五六段 男は、又、随身こそ
第五七段 職の御曹司の西面の
第五八段 殿上の名対面こそ
第五九段 若くて、良ろしき男の
第六十段 若き人と、児は
第六一段 万よりは、牛飼童の
第六二段 人の家の前を渡るに
第六三段 良き家の
第六四段 滝は
第六五段 川は
第六六段 橋は
第六七段 里は
第六八段 草は
第六九段 集は
第七十段 歌の題は
第七一段 草の花は
第七二段 覚束無き物
第七三段 喩無き物
第七四段 常磐木、多かる所に
第七五段 忍びたる所にては
第七六段 冬の、いみじく寒きに
第七七段 懸想人にて、来たるは
春曙抄 巻四
第七八段 有り難き物
第七九段 内裏の局は、細殿
第八十段 増して、臨時の祭りの
第八一段 職の御曹司に
第八二段 味気無き物
第八三段 いとほし気無き物
第八四段 心地良気なる物
第八五段 取り持てる物
第八六段 御仏名の翌朝
第八七段 頭の中将の
第八八段 返る年の
第八九段 里に罷出たるに
第九十段 物の哀れ、知らせ顔
第九一段 然て、其の左衛門の陣
第九二段 職の御曹司に
春曙抄 巻五
第九三段 めでたき物 📷
第九四段 艶めかしき物 📷
第九五段 中宮の五節
第九六段 細太刀の平緒
第九七段 内裏は、五節の程こそ 📷
第九九段 上の御局の 📷
第百段 御乳母の大輔 📷
第百一段 妬き物
第百二段 傍痛き物
第百三段 あさましき物
第百四段 口惜しき物
第百五段 五月の御精進の程
第百六段 御方々、公達、上人
第百七段 中納言殿、参らせ
第百八段 雨の、打ち延へ、降る頃
春曙抄 巻六
第百九段 淑影舎、春宮に
第百十段 殿上より、梅の花の 📷
第百十一段 二月晦日 📷
第百十二段 遥かなる物
第百十三段 方弘は、いみじく
第百十四段 関は 📷
第百十五段 森は 📷
第百十六段 卯月の晦日に 📷
第百十七段 湯は 📷
第百十八段 常よりも異に 📷
第百十九段 絵に描きて、劣る物 📷
第百二十段 描き増さりする物 📷
第百二一段 冬は
第百二二段 夏は
第百二三段 哀れなる物 📷
第百二四段 正月に、寺に
第百二五段 心付無き物
第百二六段 侘びし気に、見ゆる物 📷
第百二七段 暑気なる物
第百二八段 恥づかしき物 📷
春曙抄 巻七
第百二九段 無得なる物
第百三十段 修法は
第百三一段 はしたなき物
第百三二段 関白殿の、黒戸より
第百三三段 九月ばかり、夜一夜 📷
第百三四段 七日の若菜を
第百三五段 二月、官の司に
第百三六段 頭の弁の御許より 📷
第百三七段 何どて、官
第百三八段 故殿の御為に
第百三九段 頭の弁の、職に
第百四十段 五月ばかりに、月も無く 📷
第百四一段 円隔院の御果ての年
第百四二段 徒然なる物
第百四三段 徒然、慰むる物 📷
第百四四段 取り所無き物 📷
第百四五段 猶、世に、めでたき物
第百四六段 故殿など、御座しまさで 📷
第百四七段 正月十日、空、いとう暗う 📷
第百四八段 清気なる男の、双六を 📷
第百四九段 碁を、止事無き人の
第百五十段 恐ろしき物 📷
第百五一段 清しと、見ゆる物 📷
第百五二段 汚気なる物
春曙抄 巻八
第百五三段 賤し気なる物
第百五四段 胸、潰るる物 📷
第百五五段 愛しき物 📷
第百五六段 人戯へする物
第百五七段 名、恐ろしき物
第百五八段 見るに、異なる事無き物
第百五九段 難し気なる物
第百六十段 似非者の、所得る折
第百六一段 苦し気なる物
第百六二段 羨ましき物 📷
第百六三段 疾く、懐しき物
第百六四段 心許無き物
第百六五段 故殿の御服の頃
第百六六段 宰相の中将・斉信
第百六七段 昔覚えて、不用なる物
第百六八段 頼もし気無き物
第百六九段 経は
第百七十段 近くて、遠き物
第百七一段 遠くて、近き物
第百七二段 井は
第百七三段 受領は
第百七四段 宿の官の、権の守は
第百七五段 大夫は
第百七六段 六位の蔵人
第百七七段 女の、一人住む家など
第百七八段 宮仕へ人の里なども 📷
第百七九段 雪の、いと高くは 📷
第百八十段 村上の御時、雪の 📷
第百八一段 御形の宣旨 📷
春曙抄 巻九
第百八二段 中宮に、初めて参りたる 📷
第百八三段 したり顔なる物
第百八四段 位こそ、猶
第百八五段 風は 📷
第百八六段 野分の又の日こそ 📷
第百八七段 心憎き物 📷
第百八八段 島は
第百八九段 浜は
第百九十段 浦は
第百九一段 寺は 📷
第百九二段 経は
第百九三段 書は
第百九四段 仏は
第百九五段 物語は 📷
第百九六段 野は
第百九七段 蛇羅尼は
第百九八段 遊びは
第百九九段 遊び業は 📷
第二百段 舞は
第二百一段 弾物は
第二百二段 笛は 📷
第二百三段 見る物は
第二百四段 五月ばかり、山里に歩く 📷
第二百五段 いみじう暑き頃 📷
第二百六段 五日の菖蒲の 📷
第二百七段 良く烓き染めたる薫物 📷
第二百八段 月の、いと明かきに
第二百九段 大きにて、良き物
第二百十段 短くて、有りぬべき物
第二一一段 人の家に、付々しき物
第二一二段 物へ行く道に
第二一三段 行幸は、めでたき物
第二一四段 万の事よりも
第二一五段 細殿に、便無き人なむ
第二一六段 三条の宮に御座します 📷
第二一七段 十月十日余りの月
第二一八段 成信の中将こそ
第二一九段 大蔵卿ばかり
第二二十段 硯、汚気に、塵ばみ
第二二一段 人の硯を引き寄せて
第二二二段 「珍し」と言ふべき事 📷
春曙抄 巻十
第二二三段 駅は
第二二四段 岡は
第二二五段 社は
第二二六段 降る物は
第二二七段 日は
第二二八段 月は
第二二九段 星は
第二三十段 雲は
第二三一段 騒がしき物
第二三二段 蔑ろなる物
第二三三段 言葉、無礼気なる物
第二三四段 賢しき物
第二三五段 上達部は
第二三六段 公達は
第二三七段 法師は
第二三八段 女は、典侍
第二三九段 宮仕へたらむ人など
第二四十段 身を替へたらむ人など
第二四一段 雪、高う振りて
第二四二段 細殿の遺戸、いと疾う
第二四三段 唯過ぎに、過ぐる物
第二四四段 殊に、人に知られぬ物
第二四五段 五月・六月の夕方
第二四六段 賀茂へ詣づる道 📷
第二四七段 鶯に、時鳥は 📷
第二四八段 八月晦日方に
第二四九段 いみじく汚き物
第二五十段 迫めて、恐ろしき物
第二五一段 頼もしき物
第二五二段 いみじう仕立てて 📷
第二五三段 世の中に、猶
第二五四段 男こそ、猶、いと有り難く
第二五五段 万の事よりも
第二五六段 人の上、言ふを
第二五七段 人の顔に、取り分きて
第二五八段 嬉しき物 📷
第二五九段 御前に、人々 📷
第二六十段 関白殿、二月十日の程 📷
春曙抄 巻十一
第二六一段 尊き物
第二六二段 歌は
第二六三段 指貫は
第二六四段 狩衣は
第二六五段 単衣は
第二六六段 悪ろき物は
第二六七段 下襲は
第二六八段 扇の骨は
第二六九段 檜扇は
第二七十段 神は
第二七一段 崎は
第二七二段 屋は
第二七三段 時、奏する
第二七四段 陽の、うらうらと
第二七五段 成信の中将は
第二七六段 常に、文、致する人の
第二七七段 唯、朝は 📷
第二七八段 煌々しき物
第二七九段 雷の甚く鳴る折に
第二八十段 「坤元録」の御屏風
第二八一段 方違へなどして 📷
第二八二段 雪、いと高く降りたるを 📷
第二八三段 陰陽師の許なる童べ
第二八四段 三月ばかり、物忌しに
第二八五段 清水に籠りたる頃 📷
第二八六段 十二月二十四日 📷
第二八七段 宮仕へする人々の
春曙抄 巻十二
第二八八段 家、広く、清気にて
第二八九段 見習いする物
第二九十段 打ち解くまじき物
第二九一段 右衛門の尉なる者の
第二九二段 又、小野殿の母上こそは
第二九三段 又、業平が母の宮の 📷
第二九四段 「をかし」と思ひし歌
第二九五段 良ろしき男を
第二九六段 大納言殿、参り給ひて
第二九七段 僧都の君の御乳母の
第二九八段 男は、女親、亡くなりて
第二九九段 定澄僧都に
第三百段 真や、下野に下る
第三百一段 或る女房の
第三百二段 便無き所にて
第三百三段 唐衣は
第三百四段 裳は
第三百五段 汗衫は
第三百六段 織物は
第三百七段 紋は
第三百八段 夏、薄物
第三百九段 容貌良き公達の
第三百十段 病は
第三一一段 心付無き物
第三一二段 宮仕へ人の許に
第三一三段 初瀬に詣でて
第三一四段 言ひ難き物 📷
第三一五段 四位・五位は、冬
第三一六段 品こそ、男も、女も
第三一七段 匠の、物食ふてこそ
第三一八段 物語をも、せよ 📷
第三一九段 或る所に、中の君とかや 📷
第三二十段 女房の、参り、罷出 📷
第三二一段 好き好きしくて 📷
第三二二段 清気なる若き人の
第三二三段 前の木立、高う
第三二四段 見苦しき物 📷
第三二五段 物暗う成りて 📷
感想とご挨拶▶約60年を生きたとされる清少納言さんの“枕草子”本意は(本意どころか、あちらこちら、本当に書かれていたかさえも)永遠に判らない1000年前のもの。詩的な綴りでもあり、覚書、備え書の様でもあり。何度も読み返してみたくなるもの。原文に簡素なmy辞書を付けたものを作っていました。※正確性には欠けますがよろしければ是非。