【枕草子・原文】音と光を楽しむ<第187段 心憎き物>

【第百八十七段】

心憎こころにくもの

ものへだててくに、女房にようぼうとはおぼこゑの、しのびやかにこえたるに、こたへ、わかやかにして、そよめきてまゐ気配けはいものまゐほどはしさじなどの、ぜて、たる提子ひさげの、たおすも、みみこそまれ。

ちたるきぬの、あざやかなるに、さわがしうはらで、かみの、られたる。

いみじうしつらたるところの、大殿油おほとなぶらまゐらで、なが炭櫃すびつに、いとおほおこしたるひかりに、几帳きちょうひもの、いとつややかえ、かうの、たるの、きわやかなるも、ざやかにゆ。調てうたるをけの、はひきよに、おこたるに、たるの、たる、をかし。はしの、いときはやかに、すぢたるも、をかし

いたけて、ひとの、みなぬるのちに、かたにて、殿でんじやうひとなど、ものふに、おくに、碁石ごいしおとの、数多あまたきここえたるいとこころにくし。簀子すのこに、ともしたる。ものへだててくに、ひとの、しのぶるが、なかなど、おどろきて、ことこえず、をとこも、しのびやかにわらひたるこそ、「なにごとなら」と、をかしけれ

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