枕草子「九月ばかり夜一夜」/原文と意訳

枕草子・訳②

原文

九月くがつの、一晩中ひとばんじゅうかしたあめが、今朝けさんで、朝陽あさひはなやかに差している庭のきくに、こぼれるばかりにかっているのも、とても、素敵すてき
かしてえる生垣いけがき、そのかざり、すすきなどのうえかる蜘蛛くもが、くずれたままに残っていて、所々ところどころいとえていて、あまつぶが付いている。いとしろたまつらぬいているようで、とてもおもむきがあって、てきだとおもう。
すこし、てば、はぎなどはおもたそうに、えだうごかして、つゆとして、ふとがる。
「いみじう『いと』をかし」とわたしう。「ほかひとには『つゆ』も、をかしからじ」とおもかんで、それも、又、しくて。

You cannot copy content of this page

タイトルとURLをコピーしました