【枕草子・原文】第252段 いみじう仕立てて

いみじうてて、婿むこたるいとほどく、まぬ婿むこの、べきところなどにて、しうとたる、いとほしとおもらむひとの、いみじうときたるひと婿むこりて、ひとつき捗々はかばかしうもで、しかば、すべて、いみじうさわぎ、乳母めのとなどやうものは、禍々まがまがしきことどもふもるに、かへとし正月むつきに、蔵人くらうど。あさましうかるなからひ如何いかで、とこそひとは、おもめれ、などあつかふは、らむかし六月みなづきひとかうたまところに、人々ひとびとあつまりて、くに、蔵人くらうどれる婿むこの、りよううへはかま蘇芳襲すはうがさねくろ半臂はんぴなど、いみじうあざやかにて、わすにしひとくるまとみに、はんばかりて、たりを「如何いからむ」と、くるま人々ひとびとも、たるかぎりは、いとほしがりを、ことひとどもも、「つれなく、たりものかな」など、のちにもなほをとこは、もののいとほしさ、ひとの、おもことは、めり

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