【枕草子・原文】第136段 頭の弁の御許より

とうべんの御もとより」とて、主殿司とのもりづかさなどやうなるものを、しろしきつつみて、うめはなの、いみじくたるたる。「」と、いそぎ、れて、れば、餅餤へいだんものを、ふたならべて、つつたるけりたるたてふみに、もんやうきて、

進上しんじやう餅餤へいだん一包ひとつつみれいりて進上しんじやう如件くだんのごとし少納言殿せうなごんどのに」

とて、月日つきひきて、

任那成行みまなのなりゆき

とて、おくに、

をのこは、みづかまゐるを、ひるは、容貌かたちろしとて、まゐなり」

と、いみじく、をかしに、たまたり
御前おんまへまゐて、らんさすれば、(中宮定子)「めでたくも、かれたるかな。をかしたり」など、させたまて、御ふみは、たま。(清少納言)「かへごとは、如何いかがべからへいだんるには、ものなどらむたるひとがな」とふを、こして、(中宮定子)「これなかこえつるびて、へ」とのたまれば、はしでて、(清少納言)「だいべんに、ものこえ」と、さぶらひして、れば、いとく、うるはうて、たり。(清少納言)「らずわたくしごとなり。し、べんせうごんなどのもとに、かるものたるしもなどには、ることる」とへば、(惟仲これなか)「ことも、はべらず。ただめてはべる。なにに、たまし、じやうくわんうちにて、させたまへるか」とへば、(清少納言)「如何いかがは」と、いらふ。ただかへしを、いみじあかうすやうに、

(清少納言)「みづから、しもは、いと戻道れいだうなり、となむゆる」

とて、めでたき紅梅こうばいけて、たてまつを、すなはち、御座おはしまし、(行成)「しもさぶら」とのたまば、たるに、(藤原行成)「やうものぞ、うたて、おこたまへると、おもつるに、美々びびしくも、ひたりつるかな。をんなすこし、「われは」とおもたるは、うたみがましくる。こそかたらひけれなどに、ことひとは、かへりて、じんならかし」とのたま。(清少納言)「のりみつ、なりやすなど、わらひて、みにこと※87,89」を、殿とのまへに、ひとびといとおほかりけるに、かたまうたまければ、「(藤原道隆みちたか)『いとく、たる』となむのたませし」と、ひとの、かたこれこそぐるしきわれめどもなりかし

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