原文で読むための枕草子

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【枕草子・原文】第321段 好き好きしくて

好すき好ずきしくて、一人ひとり住すみする人ひとの、夜よるは、何いづらに有ありつらむ。暁あかつきに帰かへりて、やがて、起おきたる。未まだ、眠ねぶた気げなる気色けしきなれど、硯すずり、取とり寄よせ、墨すみ、濃こうやかに、押おし磨すりて、事こと無
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【枕草子・原文】第126段 侘びし気に見ゆるもの

侘わびびし気げに、見みゆるもの。六月みなづき、七月ふづきの午未むまひつじの時ときばかりに、汚気きたなげなる車くるまに、似非えせ牛うし、掛かけて、揺ゆるがし行ゆく者もの。雨あめ降ふらぬ日ひ、張はり筵むしろしたる車くるま。降ふる日ひ、張はり筵む
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【枕草子・原文】第295段 よろしき男を

良よろしき男をとこを、下種げす女をんななどの、褒ほめて「いみじう懐なつかしうこそ、御お座はすれ」など言いへば、やがて、思おもひ落おとされぬべし。謗そしらるるは、なかなか良よし。下げ種すに、誉ほめらるるは、女をんなだに悪わろし。又また、誉ほむ
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【枕草子・原文】第319段 或る所に

『或ある所ところに、中なかの君きみとかや言いひける人ひとの許もとに、公きん達だちには有あらねども、其その心こころ、甚いたく好すきたる者ものに、言いはれ、心こころ馳ばせなど有ある人ひとの、九く月がつばかりに、行いきて、有あり明あけの月つきの、
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【枕草子・原文】第111段 二月晦日

二月晦日きさらぎつごもり、風かぜ、甚いたく吹ふきて、空そら、いみじく黒くろきに、雪ゆき、少すこし、打うち散ちりたる程ほど、黒くろ戸どに、主殿とのも司ずかさ、来きて(主殿司)「斯かうして、候さぶらふ」と言いへば、寄よりたるに(主殿司)「公任き
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【枕草子・原文】第94段 艶めかしき物

艶なまめかしき物もの細ほそやかに、清気きよげなる公達きんだちの、直衣姿なほしすがた、をかし気げなる童わらは女めの、表うえの袴はかまなど。態わざとには有あらで、綻ほころびがちなる汗衫かざみばかり着きて、薬くす玉だまなど、長ながく付つけて、高欄

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