【枕草子・原文】第186段 野分の又の日こそ

野分のわきまたこそいみじうあはれに、おぼれ。立蔀たてじとみ透垣すいがいなどの、たるに、ぜんざいども、こころぐるなり。おほなるども、たふれ、えだなど、られたるだにに、はぎ女郎花をみなへしなどのうへに、蹌踉よろばひ、せる、いとおもなり。格子かうしつぼなどに、と、きはを、殊更ことさらたらやうに、細々こまごまと、れたるこそあらかりつるかぜわざともおぼ
いときぬの、うはぐもたるに、くちおりものなどのうちきて、真法まことしく、きよなるひとの、よるは、かぜさわぎに、つれば、ひさしう、たるままに、かがみて、よりすこし、たるかみは、かぜまよはされて、すこし、ふくだみたるが、かたかりたるほどまことに、めでたし
ものあはなるしきほどに、十七・八ばかりにちひさうはど、わざと、大人おとななどはが、生絹すずし単衣ひとへの、いみじうほころたるはなかへり、れなどたる、うすいろ宿直とのゐものて、かみは、ばなやうなるすゑも、たけばかりは、きぬすそはづれて、はかまのみあざやかにて、そばよりゆる童女わらはべの、わかひとの、めにられたるぜんざいなどを、あつめ、こしてなどするを、うらやましはかりて、たるうしろも、をかし

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