【枕草子・原文】第43段 七月ばかり、いみじく

七月ふんづきばかり、いみじあつければ、よろづところけながら、よるかすに、つきころは、きて、だすも、いとをかしやみも、またをかしありあけはたふもおろなりいとつややかなるいたの、はしちかう、あざやかなるたたみひとひらかりそめに、きて、三尺のちやうおくかたたるあぢき。はしこそべけれおくの、うしろめたからよ。ひとは、けるなるべしうすいろの、うらいとくて、うへは、すこし、かへたるならは、あやの、つややかなるが、いたを、かしらめて、めるかうぞめの、ひとくれなゐこまやかなる生絹すずしはかまの、こしいとながく、きぬしたよりかれたるも、だ、けながらめりそばかたに、かみの、て、りて、ららかなるほどながさ、はかられたるに。また何処いづこよりにあさぼらけの、いみじたるに、ふたあゐさしぬきるかきかのかうぞめかりぎぬしろ生絹すずしくれなゐの、いとつややかなるうちぎぬの、きりいた湿しめたるを、れて、びんの、すこし、ふくだみたれば、帽子ぼしの、し入れられたるしきも、しどけなくゆ。(男)「あさがほつゆまへに、ふみ」とて、みちほども、こころもとく、(男)「したくさ」など、くちさびて、かたくに、かうがりたれば、そばを、いささか、けてるに、きてらむひとも、をかしつゆを、あはおもしばし、たれば、まくらがみかたに、ほほに、むらさきかみも、たるあふぎひろごりながらり。陸奥国みちのくにかみたたうがみの、ほそやかなるが、はなか、くれなゐか、すこし、にほうつたるも、ちやうもとに、たる
ひとはひれば、きぬなかよりるに、みて、長押なげしかりたれば、ぢなどするひとにはど、べきこころへにもに、ねたかな、とおもふ。(男)「こよなきごりの御あさかな」とて、うちに、なからばかり、たれば、(女)「つゆよりさきなるひとの、もどかしさ」といらふ。をかしきことてて、べきはすしきも、にくからまくらがみなるあふぎを、たるて、およびて、するあまちかう、と、こころときめきられて、いますこし、るるりて、などして、(男)「うとおぼたること」など、かすうらなどするに、かうりて、ひとこゑごゑし、も、べしきりほどにと、いそつるふみも、たゆぬるこそうしろめたけれぬるひとも、何時いつほどえて、はぎの、つゆながら、るに、けてかういみじたるにほひ、いとをかしあまり、はしたなきほどれば、でて、(男)「つるところも、」と、おもるるも、をかしかりべし

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