【枕草子・原文】第二十九段 心悸する物 原文で読むための枕草子 2023.01.052023.03.03 【第二十九段】心悸こころときめきする物もの、雀すずめの子こ飼がひ。児ちご、遊あそばする所ところの前まへ、渡わたりたる。良よき薫物たきもの、炷たきて、一ひと人り、臥ふしたる。唐から鏡かがみの、少すこし暗くらき、見みたる。良よき男をとこの、車くるま止とめめて、物もの言いひ、案あ内ないさせたる。頭かしら洗あらひ、化け粧さうじて、香かうに染しみたる衣きぬ、着きたる。殊ことに、見みる人ひと無なき所ところにても、心こころの中なかは、猶なほ、をかし。待まつ人ひとなど有ある夜よ、雨あめの脚あし、風かぜの吹ふき揺ゆるがすも、ふとぞ、驚おどろかるる。 《ご案内》『枕草子・目次』のページはこちら!!